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医龍3について [患者としてつぶやいてみる]

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「医龍3」が終わりました。私は、はじめのシリーズからワクワクしながら見ています。
原作はよんでいないんですが。

今回のシリーズの最終回が、私の病気の仲間達の間で波紋をよんでいます。
波紋に関しては、後半で書かせていただくとして、まずは、簡単にドラマを説明しましょう。

主人公朝田龍太郎(坂口憲二さん)は心臓外科医。 彼が彼のチームのメンバー達(他の外科医、麻酔科医、ME-メディカル エンジニア つまり手術中の機械操作を行う人)などと、困難な手術を成功させていくドラマです。 

私は心臓手術経験者です。15年前に今回最終回にも登場したベンタール手術を受けています。
その経験から、心臓の治療、人の命を救うというのは、チームでなりたっていることは、よくわかるのです。それをドラマで見られることは、とてもワクワクしました。
私の手術をしたときも、麻酔の先生が事前にお話をしてくださいました。頼りになる女性で、すごく心強かった。内科医の先生も本当に親身に私の質問に答えてくれていました。
手術後も色々な先生が回診に来ましたし、看護師さんももちろん、様々なケアをしてくださいました。「あー色々な人に助けられたのだな。」とつくづく感じました。そんなことを思い出させてくれるドラマです。

今回のシリーズでは、内科医黒木先生(遠藤憲一さん)が登場し、カテーテルの発達によって、様々な循環器治療が、胸を開く手術なしで、おこなえるようになったことが、紹介されました。 患者にも負担の少ない治療で、いいことなのですが、ただし、カテーテルでできることには限りもあり、これからも技術のある外科医というのも必要なんだという、メッセージも含まれていたでしょう。ある意味今、「どこまでが内科の守備で、どこからが、外科の守備か?」というおそらくそんな問題をかかえているのが、循環器科の現状なのかと私は推察しています。

さて、ここからは、「波紋」の説明。

この黒木先生。最終回の前の週で病気であることが、発覚します。 慢性骨髄性白血病。 私に1年半前に診断の下った病気と同じです。
黒木先生は、血を吐いて倒れました。 そして隠してあった彼のカルテを見つけた仲間のドクターが「もう手のほどこしようがない」と言いました。

この病気は略称でCMLと呼ばれているので、ここからは、あえてこのCMLを使わせていただきます。
患者の間でも、一般的には、病名はこのアルファベット3文字を使う事が多いです。(実はそこにも様々な意味があると私は考えていますが。)

CML 最後のLというのは leukemia 白血病のことなのですが、白血病にも様々な種類があるということを皆さんご存知でしょうか?
私はCMLのことしか、詳しくは説明できいので、ご容赦いただきたいのですが、CMLについて、少しお話します。

CMLの場合、症状は非常にゆっくり出てきます。 自覚症状はないことが多いです。私もありませんでした。どこも痛くもなければ、熱もない。ましてや、ジーン シモンズのように吐血をするなど、まったくありませんでした。

健康診断の血液検査などで、白血球数が多いというようなことで、わかることが多いのです。
この病気の原因は、あまり解明されてはいません。そしてCMLには、3つの段階があります。

要するに初期、中期、後期があります。(ビートルズファンの皆さんなじみのある言葉使ってみました!)
慢性期----初期
移行期----中期
後期----急性期

急性期にさしかかることを「急性転化」と呼びます。
慢性期で見つかっても治療を行わないと、必ずや数年で急性転化は起きると言われています。

私が診断されたのは、慢性期でした。
おそらく、年に1回の健康診断などで、血液検査を行っていれば、この段階で発見される確立は高いと思います。

この段階で見つかったCMLに対しては、標準的治療として、分子標的薬というものを服用することが現在一般的です。
”グリベック”という薬です。
分子標的薬というのは、今までの抗がん剤とは、ちがう考え方で作り出された薬で、簡単に言うと、今までの薬より、悪い細胞を狙い撃ちできる薬です。
したがって、悪い細胞以外を攻撃しないので、この薬を飲んでいても、人はかなり元気でいられます。そして、今までよりずっと効率的に悪い細胞君は撤退します。
ただ、残念ながら、この薬は飲み続けないと、今の段階では悪い細胞君が復活してしまう事例も報告されているため、今のところドクターは、「これを一生飲んでください」と患者には説明します。
私の現状を報告するなら、この薬によって、悪い細胞君は「ほぼ撤退」状態。 つまり「この状態をキープしましょう。」というレベルです。これを難しい言葉では「分子遺伝学的効果」と呼ぶんだそうです。

さて、医龍に話を戻しましょう。
黒木先生の病気がいつ見つかったか? どの状態で診断されたか?などの説明はほとんどなかったので、なんともいえませんが、医療従事者であれば、おそらく検診なども定期的に受けるものでしょうし、それにしては、どうして、そこまで放置してしまったかという大きな疑問が残りました。

ドラマですので、ドラマにならないといけません。「朝おきて、薬飲んで、いつものように一日が終わりましたとさ。」というのでは、困っちゃいますからね。血を吐いて倒れるくらいのインパクトがほしいのでしょう。

しかし毎日朝起きて、薬をのんで、場合によっては、ばか話をして、という生活を送っている患者たちの中には、黒木先生が、CMLで倒れたというのにかなりの衝撃を受けた方がいたのも確かなんです。
実は大好きな医龍ですが、師走は忙しく、私は最終回前は見逃していたので、この展開を知ったのは、MixiのCMLのコミュニティーの書き込みでした。
「最終回をとにかく見守りましょう」そう言って患者たちは、最終回を迎えたドラマを注意深くみようとしたのです。

黒木先生は、はやり「急性転化」しており、元同僚の家族をカテーテルで救い、その後なくなります。亡くなる前に、主人公朝田先生に[オレもチームに入れてくれ」という言葉を残しました。
朝田先生は、「おまえは、とっくに、チームのメンバーだ」と答えました。
循環器科において、内科の先生と外科の先生が強力なタッグを組んでくれること。これは、患者にとって、ものすごく心強いことなんです。
現実の病院でもそうであってほしい。と私は見ながら強く願いました。

さて、最終回終了後のmixiのCMLコミュニティーでの書き込み。
やはりショックを受けた方が多かったようです。
少し重い口調の書き込みが目立ちました。
そして、患者さんのご家族からも、患者本人には見せたくないという書き込みもありました。

私としては、実は意外とクールに受け止めていまして、さっき言ったように、「ドラマとしての演出は必要だしね」と受け取っています。

でも、一つ気がかりなのが、このドラマで、CML=不治の病のイメージが多くの皆さんに植え付けられてしまうことです。


続きは、また数日後に!  こういう長文に付き合ってもらうのも悪いし。

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